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今日から11月。

2018-11-01

光通信を始め、世界の半導体工学をリードし、「ミスター半導体」と呼ばれた東北大学元教授・学長の西澤潤一博士の訃報が先月27日、ありました。享年92歳。

11月は一般的に大学や短大などでは学園祭シーズンとなりますが、私が大学に勤めていた1982(昭和57)年には11月3日より「大学創立40周年記念学園祭」が盛大に開かれ、同日、学園祭の目玉の一つとして情報・制御工学シンポジウムの “西澤潤一講演会「超LSIとその社会に及ぼす影響」” が行われました。

半導体研究の世界屈指の講演とあって、本学学生や教職員はもとより、長崎大学や三菱をはじめ約30名の学外研究者、社会人ほか40名余りの電気工学科卒業生も交え、熱気あふれるシンポジウムとなったことが思い出されます。

講演会は当時の理事長H先生の肝いりでの開催でした。先生は長らく大学の人事担当理事として学部学科に優れた専門の先生たちをたくさん招聘されていたので、学内では密かに“人買い○○○”とも言われていました。ある時、理事長に恐る恐る(?)「どうして西澤先生みたいに高名な方を呼ぶことができたのか」と尋ねたことがあります。

理事長は、「あれは電気工学科のK教授の縁、お蔭です。K教授は本学に着任される前は東北の専門学校(?) に勤めていて、西澤先生とは知己であったそうです。その縁で西澤先生には今年度から電気の非常勤講師をお願いしている関係もあり、今回の講演会に来ていただきました」と教えてくれました。

西澤先生と日本の西の小さな私立大学との縁を築いてくれたそのK教授は数年前に、生意気な(?) 一職員の質問にも丁寧に答えてくれた理事長のH先生は今年夏に、既に鬼籍に入られています。今頃はご浄土で三人、また大学のことなどについて語り合われていることでしょう。

H先生の仕掛けで実現したもう一つの学園祭の目玉は、当時“YMO”のグループ名で音楽活動を展開していて若者たちに大人気だった坂本龍一の講演会「今、坂本龍一とは-音楽における中央と周辺」をテーマに、藝大恩師の諸井誠氏との対談でした。当時、福岡のある大学が坂本さんを学園祭に呼ぼうと千万単位のお金を用意したそうですが断られたのを、本学ではその三分の一以下の出演料で来てくれたことの裏話などもお聞きしました。また、翌4日には学園祭最大のイベント「坂本龍一+B2-UNITSコンサート」が諫早文化会館で行われ、まだ小学生だった娘たちにも聴かせたことなどを思い出しています。

さらに、翌年の昭和58年の学園祭には西武百貨店の堤清二社長、コピーライターの糸井重里さん、国際的ギターリストで長崎在住の山口修さんをお呼びし、それに本学の学生代表たちが加わりシンポジウムが開催されましたが、そのお話はまた別の機会に記したいと思います。

 

「長崎総合科学大学五十年史」より (ビデオテープから切り取った写真なので、不鮮明)